冬になると、わが家の電気代は夏よりはっきり高くなります。同じエアコンを使っているのに、どうして冬のほうが高いのか。そして設定温度を何度にすれば、寒さを我慢せずに電気代を抑えられるのか。この記事では、暖房の設定温度の目安と、温度を下げても寒く感じにくくするための使い方をまとめました。読み終えたあと、今夜のリモコン操作がひとつ変わるはずです。
さき今年こそ、1月の請求書にびっくりしたくないんです。
冬の暖房は何度が目安?
まず押さえておきたいのが、目安の「20℃」は設定温度ではなく室温だということです。環境省はウォームビズとして、暖房時の室温20℃で快適に過ごすライフスタイルを提唱しています。期間は11月1日から3月31日まで。あくまで目安で、体調や住まいの事情に応じて調整してよいという位置づけです。
ここが大事なところで、エアコンの設定温度を20℃にしても、室温が20℃になるとは限りません。エアコンの温度センサーは本体近く、つまり部屋の高い位置にあります。暖かい空気は上にたまるので、天井付近が22℃でも足元は17℃、ということが普通に起こります。設定20℃で寒いと感じるなら、それはあなたが我慢強くないのではなく、単に足元がまだ暖まっていないだけです。
わが家では、リビングの真ん中に温度計を置いて、そこが20℃前後になる設定を探しました。結果、うちの設定は21℃。木造の古い家なので、20℃設定では足りませんでした。住まいによって正解の数字が違うので、まずは温度計を1つ買って、自分の家の「設定温度と実際の室温のズレ」を知るのが遠回りのようで一番早いです。千円しないもので十分ですよ。
夏より電気代が上がる理由
「冷房より暖房のほうが電気を食う」とよく言われますが、理由はシンプルで、外の空気と目指す室温の差が大きいからです。エアコンは外の空気と部屋の空気の間で熱を運ぶ機械なので、運ぶ距離、つまり温度差が開くほど仕事量が増えます。
| 季節 | 外気温の例 | 目指す室温 | 温度差 |
|---|---|---|---|
| 夏(冷房) | 35℃ | 28℃ | 7℃ |
| 冬(暖房) | 5℃ | 20℃ | 15℃ |
夏は7℃ぶん動かせばよかったところを、冬は15℃ぶん動かすことになります。これだけで消費電力が変わってきます。さらに冬は、屋外機に霜がつくと運転を止めて霜取りをします。この間は部屋が暖まらないのに電気は使うので、寒い日ほど効率が落ちます。加えて日が短く、照明の点灯時間も、お湯を沸かす回数も増えます。冬の請求書が高いのはエアコンだけの責任ではない、というのは覚えておくと落ち着いて見直せます。
わが家の去年の実績でいうと、8月が12,300円、1月が17,800円。一番安かった5月は9,000円台でした。同じ家、同じ人数でも、月によってこれだけ動きます。
夏の冷房とは考え方が違う
冷房の記事でよく出てくる「つけっぱなしのほうが安い」「風向きは水平に」といった話は、そのまま冬に持ち込むと逆効果になるものがあります。
風向きは、冷房なら水平か上向き。冷たい空気は下に落ちるので、上に吹き出せば自然に部屋全体へ広がります。暖房はその逆で、ルーバーは下向きに固定するのが基本です。暖かい空気を天井に向けて吹くと、そのまま上にたまって足元に届きません。自動運転にしていると水平寄りになることがあるので、冬は手動で下向きに変えてみてください。それだけで体感が変わります。
風量も同じで、冬こそ「自動」か「強め」が有利です。弱風でじわじわ暖めると、設定温度に届くまでの時間が長くなり、そのぶん電気を使い続けます。立ち上げは一気に、暖まったら自動に任せる。この流れが冬向きです。
冷房と暖房は、風向きも風量も逆向きに考えるとうまくいきます。
夏場の冷房の使い方はエアコンの節約術をまとめた記事で詳しく書いています。季節が変わったら、設定も切り替えてくださいね。


設定温度以外で効くこと
設定温度を1℃下げると、どのくらい変わるのか。資源エネルギー庁の試算では、外気温6℃のときに2.2kWのエアコンで暖房設定を21℃から20℃にすると、1日9時間の使用で年間およそ53kWhの省エネになります。電気料金の目安単価31円/kWhで計算すると、1℃下げて年間1,600円ほど。決して小さくはありませんが、寒さを我慢して稼ぐ額としては、正直そこまで大きくもありません。
だからこそ、温度を下げるより先に「同じ温度でも暖かく感じる状態」をつくるほうが効きます。体感温度が上がれば、設定温度は自然に下げられます。
加湿すると体感が変わる
冬の室内は乾きます。空気が乾いていると肌から水分が蒸発し、そのときに熱を奪われるので、同じ室温でも寒く感じます。湿度を40〜60%に保つと、室温が同じでも体感がはっきり変わります。うちは加湿器を運転しはじめてから、設定を22℃から21℃に下げても誰も文句を言わなくなりました。
加湿器がなくても、洗濯物を部屋干しする、お風呂の残り湯を張ったまま浴室のドアを開けておく、といった方法で湿度は上がります。乾燥対策と暖房費の節約を同時にできるので、冬はまず湿度計を見る習慣をつけるといいですよ。
湿度40〜60%を保てているか、温湿度計で確認してみてください。
サーキュレーターで暖気を回す
天井にたまった暖気を下ろすには、サーキュレーターが役に立ちます。ポイントは、人に風を当てないこと。冬に体へ直接風を当てると、かえって寒く感じます。天井に向けて上向きに回して、たまった暖かい空気を壁づたいに落とすイメージです。エアコンの真下から対角線の奥へ向けて送る置き方も定番です。
サーキュレーターの消費電力は小さく、多くのモデルで数十W程度。エアコンの設定を1℃下げられるなら、十分に元が取れる使い方です。詳しい置き場所は姉妹サイトのサーキュレーターの置き方の記事にまとめてあります。


こたつや電気毛布と組み合わせる
部屋全体を暖めるエアコンと、体の近くだけを暖める器具は役割が違います。そして電気代の桁も違います。
電気毛布は、消費電力がおおむね50〜80W程度の製品が中心です。仮に60Wを5時間使っても0.3kWh、31円/kWhで1日およそ9円。こたつも、断熱の効いた布団をきちんとかけていれば、平均すればそこまで大きな電力にはなりません。一方でエアコンは、寒い日の立ち上がりに1,000Wを超えることもあります。
なので、家族がリビングに集まってじっとしている夜は、エアコンの設定を1〜2℃下げて、そのぶん電気毛布やこたつで足元を暖めるほうが合計は安くなります。わが家では、子どもが宿題をしている夜は電気毛布を膝にかけさせて、エアコンは20℃に落としています。
低温やけどに注意
電気毛布やこたつは、長時間同じ場所に肌が触れていると低温やけどを起こすことがあります。就寝時は電源を切るか、布団を温めておいて寝る前に切る使い方にしてください。小さなお子さんや高齢のご家族がいる場合はとくに気をつけてくださいね。
電気毛布の選び方は姉妹サイトの電気毛布の記事で、洗えるタイプや敷き・掛けの違いを比べています。
電気代全体で見るとどうか
ここまで暖房の使い方を書いてきましたが、冬の電気代を本気で下げたいなら、使い方の工夫と契約の見直しは分けて考えたほうがいいです。
使い方でできることには上限があります。設定温度1℃で年間1,600円ほど、サーキュレーターや加湿でもう1℃ぶん。合わせても年間3,000円台です。もちろん意味はありますが、これは毎日の小さな積み重ねで得る金額です。
一方で、料金プランや電力会社の見直しは、一度手続きすれば以降は何もしなくても効き続けます。夜間が安いプランなのに昼に洗濯機を回している、契約アンペアが実態より大きい、といったズレは、暖房の使い方より大きく響くことがあります。プランの内容や単価は各社の公式情報で変わりますので、比較の考え方は電気代の見直し記事にまとめました。順番としては、契約を整えてから使い方を詰めるほうが、労力あたりの効果は大きいです。
それから、冬の請求書が高い原因は暖房だけとは限りません。給湯、乾燥機、こたつ、加湿器と、冬に増える家電は意外とあります。うちは一度、家電ごとの使用時間を1週間だけメモしてみて、犯人が浴室乾燥機だったことに気づきました。
まとめ|暖房は温度より逃がさない工夫が効く
冬の暖房で覚えておきたいのは、目安の20℃は設定温度ではなく室温であること、暖気は上にたまるので風は下向きにすること、そして湿度を上げれば同じ室温でも暖かく感じることの3つです。設定温度を1℃下げれば年間1,600円ほどですが、震えながら過ごして稼ぐ金額ではありません。体感を上げてから温度を下げる、この順番が冬の節約の要です。
今夜できることを1つだけ挙げるなら、エアコンのルーバーを下向きに変えることです。お金もかからず、5秒で終わります。それで足元が変われば、設定温度は自然と下げられますよ。



温度計を置いてから、家族の「寒い」に付き合うのがラクになりました。数字で話せるって強いです。
なお、電気料金の単価や各社のプラン内容は改定されることがあります。実際の契約内容や最新の料金は、契約している電力会社の公式サイトでご確認ください。







