電気代の請求を見て「先月より高い…」とため息をつく月、ありますよね。わが家も中学生と小学生の子どもがいて、夏休みは一日中エアコンが動いています。ただ、電気代は気合いでこまめに消すだけの話ではなく、使い方と契約の2方向から下げられます。この記事では、家のどこで電気が使われているのかという優先順位、契約側で見直せるところ、季節ごとの考え方までを順番に整理します。読み終えたら、今日ひとつ手をつけられる状態になるはずです。
さきまずは「どこを触ると効くのか」から見ていきましょう。
電気代は使い方と契約の2方向から下がる
電気代の請求額は、ざっくり「基本料金(または最低料金)+使った電力量×単価+再エネ賦課金」で決まります。ここで大事なのは、自分で動かせるレバーが「使う量」と「単価・基本料金」の2本あるということです。前者が使い方の見直し、後者が契約の見直しにあたります。
多くの節約記事は前者だけを扱いますが、使い方の改善は毎日の努力が要る一方で、効果が数百円〜千円台にとどまることも珍しくありません。逆に契約の見直しは一度手続きをすれば以後は放っておいても効きます。労力あたりの効果でいえば、契約側のほうが割がいい場面は多いです。とはいえ契約を変えても、使い方が極端なら請求は下がりきりません。両方をセットで考えるのが結局いちばん近道です。
もうひとつ、2026年8月現在の事情として、国の電気・ガス料金支援が動いている点も押さえておきたいところです。2026年7〜9月使用分では電気に補助が入っており、8月使用分は4.5円/kWh、7月と9月使用分は3.5円/kWhの値引きが適用されます(申請した小売事業者の料金から自動的に差し引かれる仕組みで、私たちの側で申請は不要です)。10月以降どうなるかはまだ決まっていません。つまり補助が縮んだり終わったりすれば、使い方が同じでも請求は上がるということです。補助を前提にした家計にしないほうが安全です。


家の中で電気を使っている場所
手を付ける順番を決めるには、まず内訳を知るのが早いです。資源エネルギー庁が示している家庭の消費電力の内訳では、夏の夕方(19時頃)はエアコンが約38%、照明が約15%、冷蔵庫が約12%を占めます。年間平均で見ると冷蔵庫が2割前後、暖房が1割台後半、給湯と照明がそれぞれ1割強といったところです。
| 使われ方 | 夏の夕方(19時頃) | ざっくりの性格 |
|---|---|---|
| エアコン | 約38% | 季節で激しく増減する。効果も大きい |
| 照明 | 約15% | 器具の交換で恒久的に下がる |
| 冷蔵庫 | 約12% | 24時間365日。設定と詰め方が効く |
| テレビ・調理家電など | 約16% | 使い方の工夫がきくが額は小さめ |
| 待機電力 | 約4% | 細かいが確実に積み上がる |
エアコン・照明・冷蔵庫の3つで、家庭の電力のおよそ6割を占めます。
裏を返せば、この3つを外して炊飯器の保温やトイレの便座から手をつけても、労力のわりに請求はほとんど動きません。順番を間違えないことが、続けるコツでもあります。
エアコン
効果が最も大きいのはエアコンです。ここでの基本は「設定温度」と「運転モード」の2点。冷房の設定温度を1℃上げる、暖房で1℃下げるだけで消費電力はおよそ1割変わります。環境省が示す室温の目安は、冷房28℃・暖房20℃です。あくまで室温の目安なので、設定温度をそこに合わせて我慢する必要はありません。サーキュレーターで空気を回したり、日中に窓の日差しを遮ったりして、同じ設定でも体感が涼しくなるようにするほうが続きます。
それと、いまだに誤解されがちなのが「弱運転のほうが安い」という話です。エアコンは室温を目標まで持っていくときにいちばん電力を使い、その後は少ない電力で維持します。手動で微弱運転にすると設定温度に届くまで時間がかかり、かえって高くつくことがあります。運転モードは基本「自動」でかまいません。
つけっぱなしと切ったりつけたりのどちらが安いか、フィルター掃除の頻度、室外機の置き方など、エアコンまわりだけで判断ポイントはかなりあります。細かいところはエアコンの電気代を下げる方法にまとめてありますので、夏や冬の入り口で読み返してみてください。
冷蔵庫と照明
冷蔵庫は年中ずっと動き続けている家電なので、一度手を入れると効果がずっと続きます。やることは3つだけです。庫内の温度設定を「強」から「中」にする、冷蔵室に詰め込みすぎない、壁との隙間を説明書どおりに空ける。省エネ性能カタログの試算では、設定を強から中にするだけで年間1,500円前後、詰め込みを半分に減らして年間1,000円強の目安が示されています。この試算は数年前の電力量単価をもとにしているので、今の単価ならもう少し大きくなります。
ここで注意したいのが冷凍室です。冷蔵室は隙間があるほど冷気が回って効率的ですが、冷凍室は逆で、凍った食品どうしが保冷剤の役割をするため詰まっているほうが効率的です。わが家では冷凍室はぎゅうぎゅう、冷蔵室はスカスカを目安にしています。
照明は、まだ蛍光灯や白熱電球が残っているならLEDへの交換が確実です。白熱電球からLEDへ替えると消費電力は8割ほど減ります。よく使うリビングやキッチンから順に替えていけば、電球代は使っているうちに戻ってきます。逆に、すでに家中がLEDになっているなら、照明でこれ以上削れるところはほとんどありません。ここまでやってあるお宅は、照明のこまめな消灯にこだわらなくて大丈夫です。
待機電力はどこまで効く?
「使っていない家電のプラグを抜く」は昔からある節約術ですが、いまの家電では優先度は高くありません。待機電力は家庭の消費電力のうち4%前後。4人家族で年間4,000kWhほど使う家庭なら、年間160kWh、単価31円で計算して年5,000円前後という規模感です。決して無視できる額ではありませんが、家中のプラグを毎日抜き差しして得られる額としては割に合いません。
現実的なのは、対象を絞ることです。長期間まったく使っていない家電(使わなくなったプリンタ、2台目のテレビ、季節家電)と、温水洗浄便座の電源を旅行中に切る程度。逆に、抜いてはいけないものもあります。
冷蔵庫・ルーター・録画予約中のレコーダー・給湯器のプラグは抜かないでください。故障や不具合の原因になります。
契約を見直すという手
ここからが、労力あたりの効果が大きいほうの話です。契約側で見られるところは3つあります。
ひとつめは契約アンペアです。東京電力管内など多くのエリアの従量電灯Bはアンペア数で基本料金が決まり、10Aあたり月300円前後の差が出ます。家族が減った、IHをやめた、といった変化があったのに昔のまま60A契約という家庭は珍しくありません。ただしアンペアを下げすぎると、ドライヤーとレンジと炊飯器が重なった瞬間にブレーカーが落ちます。分電盤の表示や検針票で今の契約を確認し、下げるとしても一段階ずつが安全です。なお関西・中国・四国・沖縄の各エリアはアンペア制ではなく最低料金制なので、この見直し自体が存在しません。
ふたつめは料金プランです。同じ会社の中でも、日中不在で夜間に電力が偏る家庭向けの時間帯別プランや、使用量が多い家庭ほど得なプランがあります。オール電化住宅なら夜間単価の安いプランが前提になっているはずですが、住み替えや生活パターンの変化でズレたままのケースもあります。
みっつめが電力会社そのものの切り替えです。手続きはウェブで完結し、工事も停電もありません。ただし2022年前後の燃料価格高騰以降、市場連動型のプランや燃料費調整額の上限撤廃など、以前ほど単純に「新電力が安い」とは言えなくなりました。検針票の使用量を持って、単価だけでなく燃料費調整のルールまで見比べる必要があります。このあたりの見方と、実際に切り替えたときの流れは電力会社の切り替え手順と注意点で詳しく書いています。
検針票または電力会社のマイページで、契約種別・契約アンペア・直近12か月の使用量(kWh)をメモしてから比較を始めると、話が早く進みます。


冬と夏で対策は変わる
電気代のピークは、多くの家庭で冬です。暖房は外気温との差が夏より大きく、そのぶんエアコンが働く量も増えます。夏は「日差しを室内に入れない」が効き、冬は「暖めた空気を逃がさない」が効く、と方向が逆になります。
夏なら、すだれやシェードで窓の外側で日差しを止めるのが最も効果的です。カーテンは室内側で受けるので、外で止めるほうが理屈のうえでも有利です。冬は窓からの熱の逃げが大きいので、厚手のカーテンを床につく長さにする、断熱シートを貼る、といった窓まわりの対策が中心になります。わが家は冬にリビングのカーテンを長いものに替えてから、同じ設定温度でも足元の冷えが減りました。
もうひとつ、冬は電気だけを見ていると判断を誤ります。ガスファンヒーターや石油ストーブを併用すると電気代は下がりますが、光熱費の合計では増えることもあるからです。比べるべきは電気代単体ではなく、電気+ガス+灯油の合計です。冬特有の考え方は冬の電気代を下げる方法にまとめました。
裏ワザに飛びつく前に
「電気代 裏ワザ」はとてもよく検索されている言葉です。ただ、出回っている方法の中には、効果がほぼないものや、別のところで損をするものが混ざっています。
典型が「ブレーカーを落とせば電気代が浮く」という話です。外出中にブレーカーを落としても、止まるのは待機電力の分だけ。しかも冷蔵庫まで止まるので食材が傷みます。防犯機器や給湯器の凍結防止機能も止まるため、得られるものより失うもののほうが大きいです。
効果より副作用が大きい「節約」の例
・冷房をやめて熱中症のリスクを上げる
・浴室乾燥をやめて部屋干しでカビを増やす
・古い家電を使い続けて買い替えを先延ばしする
最後の項目は特に迷いやすいところです。10年以上前の冷蔵庫やエアコンは、いまの省エネモデルと比べて消費電力がかなり大きく、使い続けるほど電気代の差が積み上がります。壊れるまで使うのが正しい場面もあれば、そうでない場面もあります。判断の分かれ目はやってはいけない節約で整理しています。
固定費全体の中での位置づけ
電気代は固定費のなかでは「毎月動く固定費」という少し特殊な位置にあります。通信費や保険のように一度決めれば毎月同額というわけではなく、季節と生活の変化でぶれます。だからこそ、月ごとの増減に一喜一憂するより、前年同月と比べるのが実用的です。電力会社のマイページなら前年同月の使用量が見られるので、まずは金額ではなくkWhで比べてみてください。単価や補助の影響を除いて、自分の使い方が変わったかどうかが分かります。
そして、電気代だけを頑張るより、通信費・サブスク・保険を含めた固定費全体を一度並べたほうが、下がる総額は大きくなります。順番と手をつけ方は固定費見直しの進め方にまとめてありますので、電気の見直しが終わったら次に進んでみてくださいね。
まとめ|使い方だけでは限界があるので契約も見る
電気代を下げる道筋を整理すると、まずエアコン・冷蔵庫・照明という上位3つの使い方を直す。次に契約アンペアと料金プランを確認し、必要なら電力会社の切り替えまで検討する。季節が変わったら窓まわりの対策を入れ替える。この順番です。待機電力や裏ワザ系は、上の3つが済んだあとの仕上げくらいに考えておいてください。
わが家で結局いちばん効いたのは、エアコンを自動運転に戻したことと、冷蔵庫の設定を中に落としたことでした。どちらも一度やれば終わりで、毎日の我慢がいりません。続かない節約は、効果がゼロと同じなんですよね。



プラグを抜いて回るのをやめたら、気持ちのほうが先にラクになりました。
なお、補助の実施期間や料金プランの内容は変わることがあります。契約内容と最新の単価は、ご自身の電力会社の公式サイトやマイページで確認してから手続きしてください。








