「シャワーだけのほうが安い」とよく言われますが、これは条件つきの話です。人数が増えると、途中で湯船を張ったほうが安くなる地点がやってきます。この記事では、シャワーと湯船それぞれにかかるガス代・水道代を分けて計算し、何人から答えが入れ替わるのか、追い焚きや保温をどう扱えばいいのかまでを整理します。わが家(夫と中学生・小学生の子ども2人の4人家族)の使い方も交えてお話ししますね。
さきずっと「なんとなくシャワーが安い」と思っていたのですが、計算してみたら我が家は逆でした。
一人ならシャワー・家族なら湯船が目安
先に結論からお伝えします。一人暮らしで入浴が1日1回なら、シャワーだけのほうが安く済みます。反対に3人以上の家庭で全員が続けて入るなら、湯船を張ったほうが安くなります。分かれ目は2人前後です。
理由はシンプルで、湯船のお湯は「一度沸かせば人数で割れる」からです。200Lのお湯を沸かす費用は、1人で入っても4人で入っても変わりません。一方シャワーは、使った人数のぶんだけ費用がまっすぐ増えていきます。人数が増えるほど、固定費のように使える湯船が有利になるわけです。
ただし、湯船に入る日でも体や髪はシャワーで洗います。ここを無視して「湯船のほうが安い」と考えると計算が合いません。実際には「湯船代+人数×短いシャワー代」と「人数×長いシャワー代」の比較になります。この点は後ほど数字で見ていきます。


シャワーにかかるガス代と水道代
シャワーの費用は、流量と時間でほぼ決まります。一般的なシャワーヘッドの流量は毎分10〜12L程度で、10分浴びれば100〜120Lです。浴槽1杯が200L前後ですから、10分のシャワーで湯船半分ぶんのお湯を使っていることになります。
ここから先の金額は、都市ガスを1㎥あたり160円、水道と下水をあわせて1Lあたり0.24円、水温15℃、給湯器の効率80%として計算した目安です。ガス料金は原料費調整で毎月動きますし、水道料金は自治体によって倍近く差があるので、あくまで自分の家に当てはめる際の型として見てください。
| 入り方 | ガス代 | 水道代 | 合計 |
|---|---|---|---|
| シャワー10分(約100L・40℃) | 約47円 | 約24円 | 約71円 |
| シャワー15分(約150L・40℃) | 約70円 | 約36円 | 約106円 |
| 湯船200L(42℃) | 約100円 | 約48円 | 約148円 |
注目したいのは、ガス代と水道代の比率です。お風呂の費用のおよそ3分の2はガス代で、水道代は3分の1ほど。つまり節水よりも「お湯を減らす・ぬるくする」ほうが効き目が大きいということです。設定温度を42℃から40℃に下げるだけでも、必要な熱量は1割近く減ります。
シャワー時間を1人5分短くすると、4人家族なら1日約140円、1か月で4,000円前後の差になります。
冬は水道水の温度が5℃前後まで下がるので、同じ量のお湯でもガス代は3〜4割増えます。「夏より冬のガス代が高い」のは暖房だけが理由ではなく、お風呂の影響がかなり大きいのです。
湯船を張ったほうが安くなる人数
では実際に比べてみます。「シャワーだけ15分」と、「湯船に入って洗うのはシャワー5分」の2パターンで、人数ごとに合計を出しました。
シャワーだけの場合は1人約106円なので、1人106円、2人212円、3人318円、4人424円と増えていきます。湯船の場合は湯張り148円が固定で、そこに1人あたり5分ぶんのシャワー約35円が乗ります。1人183円、2人218円、3人253円、4人288円です。
入れ替わるのは2人のところ。3人以上になると、湯船を張ったほうがはっきり安くなります。4人家族なら1日130円ほど、ひと月で約4,000円の差です。わが家で湯船をやめない一番の理由がこれでした。
逆に言えば、一人暮らしでシャワーが10分で終わる人は、湯船を張ると倍以上かかります。この場合は無理に湯船に入る必要はありません。「毎日は張らず、週に1〜2回ゆっくり浸かる日をつくる」くらいがちょうどいいと思います。
シャワーだけで済ませていても、1人あたり20分近く浴びているなら、その時点で湯船1杯ぶんを超えています。


追い焚きと保温の落とし穴
湯船が有利なのは「全員が続けて入ったとき」の話です。ここが崩れると、あっさり逆転します。
東京ガスの試算では、40℃のお湯を2時間後に追い焚きする場合のガス代は1回あたり約7円、6時間後だと約21円です。1回だけ見ればわずかな金額に見えますが、問題は自動保温のほうです。フタを開けたまま保温を4時間つけっぱなしにすると、その間に何度も自動で追い焚きが入り、数十円から100円近くまで積み上がることがあります。1回の湯張りとほとんど変わらない金額です。
追い焚きより先に見直したいこと
・入浴の間隔をあける日はフタと保温シートをきちんと使う
・最後の人が上がったら保温は必ず切る
・家族の入浴時刻がバラバラなら、そもそも湯船を毎日張らない選択もある
わが家は部活帰りの息子だけ帰宅が遅く、以前は保温をつけて待っていました。今は先に3人が入ったらいったん保温を切り、息子が入る直前に追い焚きを1回。これだけで冬場のガス代が月1,200円ほど下がりました。フタを閉めておけば、2〜3時間なら湯温はそれほど落ちません。
ガス代の全体像や給湯以外の見直しどころは、ガス代の節約方法をまとめた記事で詳しく書いています。お風呂はガス代の中で最も大きい費目なので、あわせて読んでもらえると効果がつかみやすいと思います。
節約以外の理由も考えていい
ここまで金額の話をしてきましたが、数十円の差でお風呂の入り方を決める必要はない、というのも正直なところです。
湯船に浸かると体の芯まで温まるので、上がったあとの湯冷めが遅くなります。冬に暖房の設定温度を1〜2℃下げられるなら、その差でガス代の増加ぶんは埋まってしまうこともあります。睡眠前に体温をいったん上げておくと寝つきがよくなる、というのも生活実感としてよく言われることです。
湯船は温まりが続くので、冬の暖房費やパジャマの重ね着を減らせる場合がある
一人暮らしで湯張りを毎日続けると、シャワーの倍以上の光熱費になりやすい
反対に、夏場の一人暮らしなら湯船にこだわる理由はほとんどありません。汗を流すだけならシャワーで十分ですし、暑い時期に無理に浸かって体力を消耗するほうが困ります。季節と人数で切り替えるのが、いちばん現実に合ったやり方です。ここまでやらなくていい、という線引きも持っておいてくださいね。
水道代の側から見るとどうか
水道代だけを取り出すと、また見え方が変わります。水道料金は多くの自治体で2か月ごとの請求、かつ使用量が増えるほど単価が上がる従量制です。基本料金の範囲に収まっている家庭では、少しくらい節水しても請求額が動かないこともあります。
一方で、家庭で使う水のうちお風呂が占める割合は約4割と、いちばん大きい費目です。人数の多い家庭ほど、お風呂の使い方が水道代に直結します。残り湯を洗濯に使うと、1回で50〜80Lほど回せるので、月に換算して300〜500円ぶんの水道代が浮きます。手間はかかりますが、洗濯機に給水ポンプをつなぐだけなのでボタンひとつで済みます。
設備側で効くのは節水シャワーヘッドです。流量を3〜4割落とすタイプが多く、水道代だけでなく沸かすお湯そのものが減るのでガス代も一緒に下がります。数千円の買い物ですが、4人家族なら数か月で元が取れる計算です。ただし水圧が弱いと感じる製品もあるので、手元で止水できるタイプを選ぶと使い勝手が落ちにくいですよ。
水道代そのものの仕組みや、お風呂以外の見直しどころは水道代の節約方法の記事にまとめています。基本料金の考え方を知っておくと、どこを削れば請求額が動くのかが分かります。
まとめ|人数と入る時間で答えは変わる
シャワーと湯船のどちらが節約になるかは、家族の人数と1人あたりのシャワー時間で決まります。一人暮らしで10分程度のシャワーならシャワーだけが安く、3人以上で続けて入るなら湯船を張ったほうが安い。2人はほぼ互角なので、好みで選んで構いません。
そして忘れたくないのが、費用の3分の2はガス代だということ。シャワー時間を短くする、設定温度を1〜2℃下げる、保温はつけっぱなしにしない——この3つだけで、家族の人数によっては月に数千円の差が出ます。今日からやるなら、まずはお風呂のリモコンの設定温度を1℃下げてみるところから始めてみてください。



計算してみて一番驚いたのは、追い焚きより保温のほうが高くつく日があったことでした。
ガス料金の単価や水道料金は地域と時期で変わります。ここに挙げた金額は目安なので、正確な単価はお使いの事業者の請求書や公式サイトでご確認ください(2026年8月時点の一般的な条件で計算しています)。








