格安SIMへの乗り換え|下がる金額と失敗しない選び方

スマホと料金明細の画面、SIMカードトレイ

スマホ代は、一度見直すと翌月から自動で効き続ける数少ない支出です。この記事では、格安SIMに変えると月いくら下がるのか、大手キャリアと何が違うのか、選ぶときに見るべきところとデメリット、そして実際の乗り換え手順までをまとめます。家族分をどう考えるかまで読めば、自分の家の場合いくら浮くのかが計算できるはずです。

さき

わが家も一番最後まで手をつけられなかったのが、この通信費でした。

目次

格安SIMにすると月いくら下がる?

まず金額の話からいきます。MMD研究所が2024年9月に行った調査では、ドコモ・au・ソフトバンクと契約している人のスマホ代の平均は、端末代やオプションを含めて月9,397円でした。総務省の家計調査でも、世帯あたりの移動電話通信料は月9,000円前後で推移しています。つまり大手キャリアで普通に使っていると、1人あたり月7,000〜9,000円あたりが標準的なところです。

これに対して格安SIMは、2026年8月時点で20GBクラスが月1,400円〜2,200円ほど。たとえば日本通信SIMの20GBプランは月1,390円で1回5分の通話定額込み、イオンモバイルの20GBが月1,958円、楽天モバイルは20GBまでで月2,178円という水準です。料金プランは各社の改定があるので、申し込む前に公式サイトで最新の金額を見てくださいね。

ここから差額を出すと、1人あたり 月5,000円前後、年間で6万円前後 が浮く計算です。これは家計の中ではかなり大きい部類で、食費を毎日100円ずつ削るより、はるかに少ない労力で同じ効果が出ます。

スマホ1台を格安SIMに変えると、多くの家庭で月4,000〜6,000円、年5万〜7万円の削減になります。

もちろん、すでにahamoやpovoのようなオンライン専用プランを使っている人なら差はもっと小さくなります。逆に、端末を分割で買っていてオプションもいくつか付いている、という請求書ほど下げ幅は大きくなります。まずは自分の明細を開いて、「基本料」「オプション」「端末代」を分けて見るところから始めてみてください。端末代は乗り換えても払い続けるお金なので、そこを除いた金額が比較の対象です。

大手と何が違うのか

「そんなに安くて大丈夫なの?」というのが、たいていの人が最初に思うところだと思います。安さの理由がわかると、判断がしやすくなります。

回線を借りている仕組み

格安SIMの多くは、MVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれる会社です。自前で基地局を建てず、ドコモ・au・ソフトバンクの設備を借りてサービスを提供しています。使っている電波そのものは大手と同じなので、「山奥だけつながらない」といったことは基本的に起きません。エリアは借りている回線のエリアそのままです。

では何が違うかというと、コストのかけ方です。全国の店舗網、大量のテレビCM、契約時のサポート人員——大手が抱えているこれらの費用が、そのまま料金に乗っています。格安SIMは店舗を持たずオンライン中心にして、その分を料金から引いています。安いのは品質を削ったからではなく、売り方を削ったからです。

もうひとつ、ワイモバイル・UQ mobile・ahamo・LINEMOのような「サブブランド」「オンライン専用プラン」は、大手キャリア自身が運営しています。MVNOより料金はやや高めですが、後述する速度低下が起きにくいのが特徴です。格安SIM=MVNOと考えず、この中間の選択肢があることも覚えておくと選びやすくなります。

スマホ代を書き出した手書きの家計ノート

選ぶときに見るところ

各社の比較サイトを見ると数十社が並んでいて、正直どれも同じに見えます。見るところを3つに絞れば、候補は自然と数社まで減ります。

データ量と料金

最初にやるのは、自分が毎月何GB使っているかの確認です。いまのキャリアのマイページやスマホの設定画面から、直近数か月の使用量が見られます。ここを確認せずに「不安だから大きめに」と選ぶのが、一番よくある失敗です。

目安として、自宅にWi-Fiがあって外では通話とSNS、地図くらいという使い方なら、月3〜5GBで足ります。通勤中に動画を見る人で10〜20GB。データ量ごとの料金相場は、2026年8月時点でおおよそ次のとおりです。

データ量格安SIMの相場向いている人
3GB前後月700〜1,000円自宅Wi-Fi中心・通話とSNSが主
10GB前後月1,000〜1,500円外で地図や音楽をよく使う
20GB前後月1,400〜2,200円移動中に動画を見る
無制限系月3,000円前後自宅にネット回線がない

余ったデータを翌月に繰り越せるかどうかも、地味に効きます。使う月と使わない月の差が大きい人ほど、繰り越しありのプランを選ぶと小さいデータ量でやりくりできます。

通話をどれだけ使うか

格安SIMの料金表を見て「思ったより安くならない」となる原因の多くが、通話オプションです。基本料が1,390円でも、24時間かけ放題を付ければ+1,500円前後になり、合計は3,000円近くになります。

まずは通話明細で、1か月に何分・何回かけているかを見てください。仕事や連絡の大半がLINE通話で済んでいるなら、かけ放題は要りません。子どもの学校や病院に短くかける程度なら、5分・10分の定額で十分足ります。長電話が習慣になっている人だけが、無制限かけ放題を検討する対象です。

通話明細を見て、5分以内の発信が大半なら「5分かけ放題」で足ります。

速度が落ちる時間帯

MVNOで唯一はっきりした弱点が、混雑時間帯の速度です。回線を借りている枠に利用者が集中すると、平日の昼12時台と夕方18時台あたりで通信が重くなります。動画が止まる、地図の読み込みが遅い、といった形で体感に出ます。

MVNOは平日12時台・18時台に速度が落ちやすく、外での動画視聴には向かないことがあります。

サブブランド(ワイモバイル・UQ mobile)やahamo・LINEMOは混雑時も速度が落ちにくく、料金と速度のバランスがとれています。

この時間帯にスマホをどう使っているかで、選ぶ先が変わります。昼休みにオフィスや外で動画やSNSをがっつり見る人は、料金が数百円上がってもサブブランド側を選んだほうが満足度が高いです。逆に、平日昼は職場のWi-Fiを使っている、あるいは自宅にいることが多いなら、MVNOの安さをそのまま取りにいけます。

デメリットも知っておく

速度以外にも、乗り換える前に知っておきたいことがいくつかあります。

一つはキャリアメールです。@docomo.ne.jp などのアドレスは、乗り換えると原則使えなくなります(各社月330円前後で持ち出せる有料サービスはあります)。ネット通販や公共サービスの登録に使っている場合は、乗り換え前にGmailなどのフリーメールへ切り替えておく必要があります。ここを飛ばすと、乗り換え後にパスワード再設定ができなくなって困ります。

もう一つは、キャリア決済や各社のポイント優遇、家族間通話無料、光回線とのセット割です。特にセット割は要注意で、スマホを抜けると自宅のネット料金が上がり、下げたつもりが差し引きゼロだった、ということが起こります。

乗り換え前に必ず確認する3つ

1. 自宅のネット回線とのセット割が付いていないか(外すといくら上がるか)

2. 端末の分割残債が残っていないか(残っていても払い続ければ乗り換えは可能)

3. キャリアメールを何の登録に使っているか

店舗サポートがない点も、人によっては負担です。設定はすべて自分で行うことになります。とはいえ最近は手順の画面案内が丁寧になっていて、スマホの初期設定を自分でやったことがある人なら、まず詰まりません。それでも不安なら、店舗を持つイオンモバイルやワイモバイルのように、対面で相談できる選択肢を選ぶ手もあります。ここまで一人でやらなくてもいい、という線引きは自分で決めて大丈夫です。

乗り換えの手順

手続きそのものは、以前よりずいぶん簡単になりました。2023年から始まったMNPワンストップに対応している事業者どうしなら、乗り換え元でMNP予約番号を取る必要がなく、申し込み先のサイトだけで完結します。ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルの各ブランドに加え、日本通信SIM、IIJmio、イオンモバイル、NUROモバイル、BIGLOBEモバイルなどが対応しています。

STEP
使用量と契約内容を確認する

直近3か月のデータ使用量、通話時間、いま付いているオプションとセット割を書き出します。ここが乗り換え先を決める材料になります。

STEP
申し込み先とプランを決める

データ量・通話・速度の3点で候補を絞ります。eSIM対応の端末なら、物理SIMの到着を待たずに当日中に切り替えられます。

STEP
本人確認書類とMNP情報を準備する

運転免許証などの本人確認書類、支払い用のクレジットカードまたは口座、契約者名義を揃えます。名義が家族の名前になっていると手続きが止まるので、事前に確認しておきます。

STEP
申し込む

乗り換え先のサイトから申し込みます。ワンストップ対応なら、途中で元のキャリアのサイトへ飛んで同意するだけで予約番号は不要です。非対応なら先に予約番号(有効期限15日)を取得しておきます。

STEP
開通手続きをする

SIMが届いたら(eSIMならプロファイルをダウンロードしたら)、案内に沿って回線切替を行います。ここで元の回線が自動的に解約になるため、別途の解約手続きは要りません。

STEP
APN設定と動作確認をする

通信できるようになったら、通話の発着信、データ通信、SMSの受信をひととおり試します。金融機関やSNSの二段階認証がSMSで届くかも、この段階で確認しておきます。

作業時間はまとめて1時間ほど。ただしeSIMでない場合はSIMカードの郵送で数日かかります。仕事の連絡に使う番号なら、週末に手をつけると安心して進められます。

家族それぞれのスマホを並べた様子

家族分をまとめて変えると効果が大きい

ここが、この記事で一番お伝えしたいところです。格安SIMの節約効果は、単純に台数で効いてきます。1台で月5,000円下がるなら、4人家族全員なら月2万円、年間24万円。桁がひとつ変わります。

わが家は夫婦2人と、スマホを持っている中学3年の息子の3回線です。全員大手キャリアのままだったころの通信費は月2万5,000円前後ありました。息子は自宅にいる時間が長くWi-Fiで足りるので小さいデータ量に、外回りの多い夫は20GBに、と使い方に合わせて分けたところ、3回線の合計で月9,000円ほど まで下がりました。小学3年の娘はまだスマホを持っていませんが、持つときも同じ考え方で選ぶつもりです。

家族でまとめるときのコツは、全員を同じプランに揃えないことです。家にいる時間が長い子どもは3GBで足りますし、通勤で動画を見る人は20GB要ります。人によって必要なデータ量はまったく違うので、揃えると誰かが確実に払いすぎます。

一方で、家族割やデータシェアを重視するなら、同じ会社の中で違うプランを選ぶ形にすると管理がラクです。イオンモバイルやIIJmioのように、家族でデータを分け合えるサービスもあります。請求がひとつにまとまるので、家計簿をつける側としてもありがたいところです。

未成年の回線を契約する場合は、契約者を保護者名義にしたうえでフィルタリングの設定が必要です。会社によって申し込み方法が異なります。

通信費以外の固定費もまとめて見直したい方は、固定費見直しの全体像をまとめた記事で、どこから手をつけると効率がいいかを順番に整理しています。スマホ代はそのうちの一項目です。

通信費の次に見るのはネット回線

スマホを変えたら、次は自宅のネット回線です。順番としてこちらが後になるのには理由があります。スマホのセット割が外れることで、光回線の料金が上がるケースがあるからです。スマホ側を確定させてから、自宅回線の総額を計算し直すほうが判断を間違えません。

自宅回線は月4,000〜6,000円台が相場で、こちらも見直せば 月1,000〜2,000円 の差が出ます。工事が不要なホームルーター型に変える、そもそも家族全員が格安SIMの大容量プランを持っているなら固定回線を持たない、といった選択肢もあります。ただし在宅勤務やオンライン授業がある家庭では、安定性で光回線に分があります。

この判断は家庭ごとに答えが変わるので、ネット回線の見直し方をまとめた記事で、使い方別にどれを選べばいいかを整理しています。スマホとセットで考えると、通信費全体でさらに下げられます。

まとめ|一度変えれば毎月効き続ける

格安SIMは、手続きに1時間ほどかけるだけで、その後は何もしなくても毎月の請求が下がり続ける見直しです。ポイントは3つ——直近のデータ使用量を確認すること、通話オプションを実際の通話時間に合わせること、平日昼に速度が落ちても困らないかを考えること。この3つが決まれば、候補は数社に絞れます。

そして、家族の台数分だけ効果が積み上がります。まずは1台、自分の回線から試してみて、問題なければ家族に広げる。この進め方なら失敗しても影響は小さく済みます。無理のない範囲で、できるところから始めてみてくださいね。

さき

長く「面倒くさそう」と後回しにしていましたが、やってみたら想像の半分の手間でした。もっと早くやればよかった、というのが正直なところです。

なお、この記事の料金は2026年8月時点で確認したものです。各社のプランやキャンペーンは変わりますので、申し込みの前に各事業者の公式サイトで最新の内容をご確認ください。

格安SIMがダメと言われるのはなぜですか?

主な理由は、平日の昼と夕方に通信速度が落ちやすいこと、キャリアメールが使えなくなること、店舗サポートがないことの3点です。いずれも回避できます。速度が気になるならワイモバイル・UQ mobileなどのサブブランドを、対面サポートが欲しいなら店舗を持つ会社を選べば、多くの人が不満なく使えます。

電話番号は変わりますか?

変わりません。MNP(携帯電話番号ポータビリティ)を使えば同じ番号を引き継げます。ワンストップ対応事業者どうしなら予約番号の取得も不要で、乗り換え先の申し込み画面だけで手続きが完了します。

いま使っているスマホはそのまま使えますか?

2021年10月以降に販売された端末はSIMロックが原則禁止されているため、ほとんどそのまま使えます。それ以前の端末は、乗り換え先が使う回線(ドコモ/au/ソフトバンク)に対応しているか、各社の動作確認端末一覧で機種名を検索して確かめてください。

乗り換えるとどれくらい通信が使えない時間がありますか?

開通手続きの前後で、数分から数十分ほどです。eSIMなら即日、SIMカードの郵送でも切り替え作業自体は短時間で終わります。作業中もWi-Fiがあればネットは使えます。

目次