自炊は節約にならない?ならない人の条件を実際の買い物から確かめる

野菜と家計簿ノートが置かれた台所の様子

「頑張って自炊しているのに、食費がぜんぜん減らない」。この違和感、思い込みではありません。自炊が節約になるかどうかは、作る量・買い方・人数という条件で結果がはっきり変わります。この記事では、自炊が節約にならない人に共通する条件を整理して、外食や中食と比べたときにどこで逆転するのか、そして自分の場合はどうすればいいのかを順番に見ていきます。

さき

私も昔、作るほど赤字になっていた時期がありました。

目次

自炊が節約にならないと言われる理由

自炊は「材料費だけ」で計算されがちです。でも実際に財布から出ていくお金は、材料費に加えて、使い切れずに捨てた分・調味料の減り・光熱費・買い物のついで買いまで含めた合計です。ここを数えていないと、感覚上は節約しているのに家計簿の食費欄は動かない、ということが起こります。

原因はだいたい3つに絞れます。材料を余らせる・見えない費用を数えていない・そもそも人数が少ない。ひとつずつ見ていきますね。

材料を余らせて捨てている

自炊が高くつく最大の理由がこれです。スーパーの食材は、家庭の一食分に合わせて売られていません。にんじんは3本入り、豚こまは300g前後、キャベツは1玉か半玉。レシピで使うのは「にんじん1/2本」なのに、買う単位は3本です。

残った2本半を次の献立に回せれば材料費は薄まりますが、回せないまま野菜室で萎びさせると、その日の一食のコストは実質2倍にも3倍にもなります。しかも捨てた記憶は家計簿に残らないので、「自炊しているのに高い」という結果だけが手元に残ります。

自炊の食材費は「使った分」ではなく「買った分」で家計に効きます

心当たりがある方は、1週間だけ野菜室を空にしてから買い物に行ってみてください。何がいつも余るのかが、はっきり見えます。

調味料と光熱費を数えていない

しょうゆ、みりん、油、だし、コンソメ、片栗粉。単価は安いのですが、自炊を始めた最初の月はこれらをまとめて買い揃えることになるので、月の食費がふくらみます。ここで「自炊しても食費が下がらない」と判断してしまう人は多いです。調味料は数か月かけて使うものなので、初月の出費で結論を出さないでください。

光熱費のほうは、実は思われているほど大きくありません。ガスコンロで10分ほど煮炊きする程度なら、一食あたりで数円から十数円の世界です。ただし、揚げ物のように油を新しく用意して長時間加熱するもの、オーブンを予熱から使うものは別で、一食あたりのコストがぐっと上がります。

自炊の損得を判断するのは、調味料が一巡した2〜3か月目の食費で

一人分はどうしても割高になりやすい

ここが一番大事なところです。自炊のコストは、材料費だけでなく「その料理を何人で分けるか」で決まります。カレーを作るとき、ルウ1箱・肉・野菜で1,000円前後かかるとして、4人で食べれば一人250円ですが、一人暮らしで作れば同じ1,000円を自分ひとりで背負うことになります。

残りを冷凍して4回に分けられるなら結果は同じですが、実際には3日続くと飽きて、最後は捨ててしまう。あるいは面倒で作らず、その日は買って帰る。一人暮らしの自炊が節約になりにくいのは、料理が下手だからでも根性が足りないからでもなく、単に一回あたりの分母が小さいからです。

コンビニ弁当と手作りの一食を並べて比べた様子

外食や中食と比べてみる

では、買って食べる場合といくら違うのか。ここは感覚ではなく、実際の値段で並べたほうがはっきりします。

コンビニ弁当との比較

コンビニ弁当は執筆時点で500〜600円台のものが中心です(店舗や商品で変わります)。おにぎりとサラダ、飲み物を足せば1食700円を超えることも珍しくありません。

対して、わが家で作る鶏むね肉の照り焼きに、ごはん、味噌汁、副菜をつけた一食は、材料費でだいたい150〜200円といったところです。むね肉が100gあたり80円前後で買えたときの計算で、4人分をまとめて作った場合の一人あたりです。この差は大きく、同じ献立を1週間つづければ、1人1日1食の置き換えで週2,000円前後の差になります。

ただしこれは、4人で食べきる前提の数字です。同じ料理を一人分だけ作ると、むね肉は1枚(250g前後)から買うことになり、味噌汁のためにだしと味噌を用意し、副菜のために野菜を1袋買うことになります。一人分で作った瞬間、200円だったはずの一食は400円にも500円にもなります。

まとめて作って分け合えるほど、自炊の一食あたりは下がる

一人分だけをその都度作る自炊は、コンビニ弁当と差がつきにくい

宅配弁当やミールキットとの比較

最近は「自炊か外食か」の二択ではなくなりました。冷凍の宅配弁当は1食500〜700円台が中心で、送料の有無で実質価格が100〜200円ほど動きます。ミールキットは1食300〜500円台のプランもあり、宅配弁当と同じか少し安い水準です。価格やキャンペーンは各社で頻繁に変わるので、比較するときは送料込みの実質額で見てください。

食べ方1食あたりの目安手間食材を余らせるか
自炊(4人分まとめて)150〜250円大きい買い方しだい
自炊(一人分をその都度)300〜500円大きい余りやすい
ミールキット300〜500円台中くらい出ない
冷凍の宅配弁当500〜700円台小さい出ない
コンビニ弁当500〜600円台なし出ない

この表を眺めると分かるのですが、一人分をその都度作る自炊は、ミールキットと同じくらいの金額で、手間だけが自分に乗っている状態です。それなら、キットを使ったほうが食材を余らせない分だけ安く済むこともあります。

自炊が効いてくるのは何人から?

わが家は夫と中学3年生の息子、小学3年生の娘の4人家族です。息子が食べ盛りになってからは、外で食べれば大人と同じ量を食べます。4人で外食すれば1回5,000円前後、家で作れば同じ献立が1,000円前後。この差が毎日積み上がるので、自炊をやめるという選択肢がそもそも成立しません。

目安としては、2人以上で同じ鍋を分け合えるなら、自炊はほぼ確実に安くなります。食材が一食で使い切れる量に近づき、光熱費も調味料も人数で割れるからです。

一方、一人暮らしの場合は「作る回数」で決まります。週に5〜6回、まとめ買いした食材を使い切れるサイクルが回っているなら安くなりますし、週に1〜2回だけ気が向いたときに作るなら、余らせる分が多くて割高になります。中途半端が一番お金がかかる、というのが自炊の性質です。

自炊の損得を分ける3つの条件

1. 一度に何人分を作って分けられるか

2. 買った食材を使い切るサイクルがあるか

3. 揚げ物やオーブン料理の頻度が高すぎないか

にんじんや葉物が入った冷蔵庫の野菜室

節約になる自炊のやり方

条件が分かれば、やることはシンプルです。献立を立ててから買う、使い切れる量で買う、そして同じ食材を2回以上の献立で使い回す。この3つだけで、食費は目に見えて動きます。

STEP
1週間の献立をざっくり決める

きっちり7日分でなくて構いません。「月は炒め物、火は魚、水はカレー」くらいの粗さで十分です。決めた献立から必要な食材を書き出します。

STEP
買い物リストを作ってから店へ行く

リストにないものは、値引きシールが貼ってあっても一旦保留にします。ここが一番効きます。

STEP
帰宅したらすぐ下処理する

肉は小分けにして冷凍、葉物は洗って保存袋へ。この10分をやるかどうかで、週末に捨てる量が変わります。

STEP
週の後半は残り食材から献立を逆算する

新しく買い足さず、冷蔵庫にあるものだけで作る日を1日つくります。

献立から逆算する買い方そのものについては、節約レシピの基本の考え方でもう少し詳しく書いています。作り置きや味付けの回し方まで含めて知りたい方はそちらもどうぞ。

使い切れる量で買う

まとめ買いは「安いから買う」ではなく「使う予定があるから買う」に切り替えると、結果が変わります。3本入りのにんじんを買うなら、3本使い切る献立を先に決めておく。決められないなら、単価が高くても1本売りを選んだほうが、最終的な支出は小さくなります。

わが家で助かっているのは、日持ちのする食材と足の速い食材を組み合わせる買い方です。にんじん・玉ねぎ・じゃがいもは常温で1〜2週間もつので献立の土台に置き、もやしやきのこ、葉物は買った日と翌日に使い切る前提で計画します。もやしを軸にした食材の使い方に、安い食材で1週間を回すときの組み立て方をまとめてあります。

特売の大袋は、使い切る予定がないうちは家計にとって値引きになりません

最初から完璧にやろうとしなくて大丈夫です。まずは「余らせやすい食材ひとつだけ、小さいサイズに変える」から試してみてくださいね。

無理に自炊しなくていい場合もある

ここまで書いておいてなんですが、全員が自炊すべきだとは思っていません。帰宅が22時を回る生活で、そこから買い物して調理して片付けまでするのは、続きません。続かない節約は、リバウンドしてまとめ買いした食材を捨てる分だけマイナスになります。

一人暮らしで自炊の回数が週2回以下になりそうなら、ごはんだけ炊いて主菜は買う、という折衷が合理的です。ごはんは自宅で炊けば1杯30〜40円程度に収まりますから、コンビニで弁当を買う代わりに惣菜だけ買えば、それだけで1食150〜200円は変わります。全部作るか全部買うかの二択にしないことが、いちばん効きます。

体調が悪い日、仕事が立て込んでいる日に買って済ませるのは、家計の敗北ではありません。健康を削って浮かせたお金は、あとで医療費や気力の消耗として戻ってきます。食費全体をどこから削るかの優先順位は、食費節約の全体ガイドで整理しているので、自炊以外の手も見ておくと選択肢が増えます。

まとめ|自炊は前提しだいで結果が変わる

自炊が節約になるかどうかは、料理の腕ではなく前提で決まります。2人以上で分け合えるなら、自炊はほぼ確実に安くなります。一人暮らしなら、週5回以上作って食材を使い切れるかどうかが分かれ目で、そこに届かないならごはんだけ炊いて主菜は買う形のほうが安く、そして続きます。

今日ひとつだけやるとしたら、冷蔵庫を開けて、いま余っている食材を書き出してみてください。そのリストが、あなたの自炊が節約になっていない理由をそのまま教えてくれます。

さき

捨てる野菜がゼロになった週の家計簿を見たとき、頑張る方向を間違えていたんだと分かりました。

なお、宅配弁当やミールキットの料金・送料・キャンペーンは変わりやすいので、契約前に各社の公式サイトで最新の条件を確認してください。

自炊で食費は月にいくら減りますか?

世帯人数と、いま何食を買って済ませているかで変わります。1人1日1食をコンビニ弁当から自炊に置き換えると、1食あたり300〜400円の差が出るので、月では9,000〜12,000円程度の幅になります。まず1か月、置き換える食数を決めて試してみるのが確実です。

一人暮らしでも自炊は節約になりますか?

週5回以上作って、買った食材を使い切れるなら安くなります。週1〜2回だけなら、余らせる分で相殺されて割高になりがちです。回数が増やせないうちは、ごはんだけ炊いて惣菜を買う形が現実的な落としどころになります。

光熱費まで入れても自炊のほうが安いですか?

煮る・炒める程度の調理なら、一食あたり数円から十数円なので結論は変わりません。差が出るのは揚げ物とオーブン料理で、これらは油や予熱の分だけコストが上がります。頻度を週1回程度に抑えれば、月の食費への影響は小さく収まります。

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