節約しようと思い立ったとき、多くの人がまず食費に手をつけます。でも食費は毎日の判断が必要で、気を抜けばすぐ元に戻ります。その点、固定費は一度手続きすれば翌月から自動的に下がり、下がったまま続きます。この記事では、固定費のどこから手をつけると効果が大きいのか、その順番を上から順に並べていきます。わが家(夫婦と中学3年生の息子、小学3年生の娘の4人家族)で実際に下げた金額も交えながら見ていきますね。
さき私も昔は「まず食費」派でした。順番を変えたら、頑張る量はむしろ減りました。
固定費と変動費はどちらを先に削るか
結論から言うと、先に手をつけるべきは固定費です。理由は単純で、効果が持続するかどうかが違うからです。
食費や日用品費といった変動費は、努力した月だけ下がります。スーパーで100円安い豚こまを選ぶ判断を、月に何十回も続けてようやく数千円。しかもその判断をやめた瞬間に元通りです。一方、スマホのプランを変える手続きは1回で終わり、その差額は解約するまで毎月自動的に浮き続けます。1時間の手続きで月3,000円下がれば、年間で36,000円。同じ36,000円を食費で削ろうとすると、1年間ずっと買い物を我慢し続けることになります。
変動費は「毎月頑張り続けて下がる支出」、固定費は「一度決めれば勝手に下がり続ける支出」です。
もうひとつ、固定費を先にやると精神的に楽です。変動費の節約は「我慢」が伴いますが、固定費は生活の中身がほとんど変わりません。スマホの回線を変えても、動画を見る時間も家族との連絡手段も変わらない。生活の質を落とさずに支出だけが減るので、続けるのに気力が要らないんです。
そもそも何が固定費に当たるのかがあいまいだと分類でつまずくので、そこが不安な方は固定費とは何か・変動費との違いを先に読んでおくと、この先の作業がスムーズになりますよ。


まずは全部書き出す
いきなり「格安SIMに乗り換えよう」と動き出したくなりますが、その前に全部を紙かスプレッドシートに書き出してください。ここを飛ばすと、いちばん高い支出を見落としたまま小さいものだけ削ることになります。
わが家で最初に書き出したとき、月の固定費の合計は自分の想像より2万円ほど多くありました。忘れていたのは、車の任意保険(年払いなので月の感覚がなかった)と、子どものタブレット学習の月額、それから解約したつもりで残っていた音楽サービスです。
クレジットカードの利用明細と銀行口座の入出金明細を、直近12か月分ダウンロードします。1か月分だと年払いや半年払いのものを取りこぼすので、必ず1年分を見てください。
同じ金額が同じ相手に繰り返し出ていれば、それが固定費です。年払いのものは12で割って月額に直しておくと、あとで比べやすくなります。
項目名ではなく金額順に並べます。この並び順が、そのまま手をつける優先順位の下敷きになります。
書き出す項目に漏れがないか不安な方は、固定費の項目一覧をチェックリスト代わりに使ってみてください。自分では思いつかなかった費目が意外と見つかります。
手取りに対する割合の目安
金額を並べたら、次は手取り収入に対する割合を出します。「月2万円の通信費は高いのか」は金額だけでは判断できませんが、割合にすると自分の家計の中でどこが膨らんでいるかが見えてきます。
家計の目安として広く使われている割合は、おおむね次のとおりです。地域や家族構成で適正値は変わるので、絶対の基準ではなく「自分の家計のどこが突出しているか」を見つけるものさしとして使ってください。
| 費目 | 手取りに対する目安 | 手取り35万円なら |
|---|---|---|
| 住居費 | 25%前後 | 約87,000円 |
| 水道光熱費 | 5〜6% | 約19,000円 |
| 通信費 | 5%以内 | 約17,000円まで |
| 保険料 | 5%前後 | 約17,000円 |
| 車関連費 | 5〜10% | 約17,000〜35,000円 |
全項目が目安内に収まる必要はありません。ひとつ大きく超えている費目があれば、そこが最初の見直し先です。
一人暮らしの場合は住居費の比重がもっと大きくなり、逆に光熱費や保険料の割合は小さくなります。単身世帯の配分については一人暮らしの固定費の目安で詳しく整理しているので、そちらを参考にしてくださいね。


手をつける順番
ここからが本題です。順番を決める基準は「金額の大きさ」だけではありません。手続きの手間に対して、下がる額がどれだけ大きいかで並べます。住居費は金額こそ最大ですが、引っ越しには初期費用も労力もかかります。まずは手間が軽くて効果が確実なものから片づけていきましょう。
通信費は一度の手続きで下がり続ける
最初に手をつけるのは通信費です。理由は、手続きが半日で終わるのに、下がり幅が大きいから。
大手キャリアの大容量プランは月7,000円前後になることが多い一方、格安SIMの小容量プランは月1,000円前後の選択肢があります。2026年8月時点では、HISモバイルの3GBプランが月770円、LINEMOの3GBまでのプランが月990円、楽天モバイルは3GBまで月1,078円といった水準です(料金は改定されることがあるので、申し込み前に各社の最新プランを確認してください)。
わが家は夫婦2人分を大手キャリアから乗り換えて、2台合計で月々約15,000円から4,000円台になりました。差額は月1万円ちょっと、年間では12万円を超えます。手続きにかかった時間は、2人分でだいたい2時間ほどでした。
ただ、誰にでも格安SIMが合うわけではありません。仕事で通話が多い人、昼休みの時間帯に必ず高速通信が必要な人、キャリアメールを長年使っている人には、乗り換えで不便が出ることもあります。自分の使い方と合うかどうかは格安SIMの選び方と注意点で確認してから決めてください。
サブスクは棚卸しから
次はサブスクです。1件あたりは数百円から千円台なので後回しにされがちですが、件数が積み上がると通信費に匹敵します。
先ほど書き出した12か月分の明細を見ると、「これ何だっけ」というものが必ず1つか2つ出てきます。わが家では、無料期間のつもりで登録して忘れていた動画サービスと、息子が一時期使っていた学習アプリが残っていました。合計で月1,800円。気づかないまま14か月払い続けていたので、2万5,000円ほど無駄にしていた計算です。
判断に迷ったら「先月これを何回使ったか」で決めます。月1回も開いていないなら、いったん解約してかまいません。必要になればまた入れます。ただし年払いで契約しているものは、解約のタイミングによって残り期間が返ってこないことがあるので、更新日を確認してから動いてください。具体的な手順はサブスクの解約手順にまとめています。
電気とガスは使い方と契約の両輪
光熱費は「使い方を変える」と「契約を変える」の2方向から下げられます。効果が読みやすいのは契約側です。
電気は、契約アンペア数が生活に対して大きすぎると基本料金を余分に払うことになります。4人家族で50Aや60Aを契約していても、実際にはIHと電子レンジとエアコンを同時に使う瞬間がなければ40Aで足りることがあります。ブレーカーが落ちる不便と引き換えなので、家族の生活パターンを見てから決めてください。プラン自体の切り替えは、電気とガスをまとめると割引になる会社もあります。
なお2026年8月現在、国の電気・ガス料金支援が実施されています。2026年7〜9月使用分が対象で、8月使用分は電気が1kWhあたり4.5円、都市ガスが1m³あたり18.0円、7月と9月の使用分は電気3.5円・都市ガス14.0円の値引きです。申請は不要で、契約中の会社から自動的に差し引かれます。
支援が終わったあとの請求に注意
補助が入っている間は請求額が抑えられているので、「うちの電気代は問題ない」と判断してしまいがちです。支援期間が終われば、使い方が同じでも請求額は上がります。今のうちに契約の中身を見ておくと、そのタイミングで慌てずに済みます。
使い方の側では、エアコンの設定温度やフィルター掃除といった定番の工夫が効きます。ただし、暑さや寒さを我慢して体調を崩したら本末転倒です。ここは無理をしないでください。契約とプランの比較手順は電気代の見直し方で整理しています。
保険は考え方を先に整える
保険料は固定費のなかで金額が大きくなりやすい項目ですが、ここは「安くする」より先に「何のために入っているか」を整理するのが順番です。
保障の中身を理解しないまま月額だけを見て解約すると、いざというときに困ります。逆に、勧められるまま入って必要以上の保障を抱えているケースもあります。まず確認したいのは、公的な制度(健康保険の高額療養費制度や、遺族年金など)でどこまで守られるのかという土台の部分です。その上で足りない分を保険で埋めると考えると、必要な保障額の見当がつきやすくなります。
ただし、必要な保障額は家族構成・住まい・勤務先の制度によって大きく変わり、記事で一律に「この保険は不要」と言えるものではありません。契約内容の判断は、契約中の保険会社の窓口やファイナンシャルプランナーなど、個別の事情を聞ける相手に相談してください。考え方の整理の仕方については保険を見直すときの考え方にまとめています。
住居費と車は腰を据えて考える
最後が住居費と車です。金額はいちばん大きいのに順番を最後にしたのは、動かすまでの労力と初期費用が大きく、家族の合意も要るからです。
賃貸なら、更新のタイミングで家賃交渉ができる場合があります。周辺の同条件の物件相場を調べたうえで管理会社に相談すると、応じてもらえることもあります。引っ越しとなると敷金・礼金・引っ越し業者代で家賃の4〜5か月分がかかるので、下がる家賃の差額で何か月かかって回収できるかを先に計算しておきましょう。
車は、維持費を洗い出すところから始めます。駐車場代、任意保険、ガソリン代、車検の積立、税金。月に換算すると想像より大きい家庭が多い項目です。週末しか乗らないなら、カーシェアやレンタカーとの比較が現実の選択肢になります。ここは数か月かけて考えていい部分なので、住居費と車の見直しを読みながら、家族で話す時間をとってください。
下げたあとに戻さない仕組み
固定費の見直しは、下げて終わりではありません。放っておくと少しずつ元に戻ります。理由は3つあります。
ひとつめは、契約の自動更新です。キャンペーン価格の適用期間が終わって通常料金に戻る、割引の条件から外れる、といった変化は通知が来ても見落としがちです。ふたつめは、新しいサブスクが増えること。ひとつ解約しても、半年後には別のものを2つ契約している、ということが起きます。みっつめは、家族構成や生活の変化です。子どもが中学生になればスマホのデータ使用量が増えますし、在宅時間が変われば光熱費の適正プランも変わります。
わが家では、年に2回、6月と12月に固定費の点検日を決めています。カードの明細を開いて、前回から増えているものがないかを見るだけで、15分ほどで終わります。この15分があるだけで、知らないうちに元に戻る事故がほぼなくなりました。
点検日には、契約更新月や年払いの引き落とし月も一緒に書き込んでおくと、次の見直しの機会を逃しません。更新月をカレンダーで管理する方法は固定費の見直しカレンダーにまとめてあるので、そのまま真似してもらえます。
まとめ|一度やれば効き続けるのが固定費
順番をもう一度整理します。全部書き出して金額順に並べる、手続きが軽くて効果の大きい通信費とサブスクから片づける、光熱費は契約と使い方の両方から見る、保険は考え方を整えてから触る、住居費と車は時間をかけて家族で決める。そして半年に一度の点検日で、下げた状態を守る。
ここまでやらなくてもいい、という線引きも書いておきます。全部を一度にやろうとしなくて大丈夫です。通信費とサブスクの2つだけでも、多くの家庭で月5,000円から1万円は動きます。まずはその2つだけ手をつけて、残りは点検日に少しずつで十分ですよ。



わが家がいちばん変わったのは、金額そのものより「毎月何にいくら払っているか言える」ようになったことでした。明細を開くのが怖くなくなります。
なお、料金プランや公的な支援制度は改定されることがあります。契約前には各サービスの公式サイトで最新の条件を確認してください。








