一人暮らしの固定費|平均といちばん先に削るもの

家計簿ノートと電卓、スマートフォンが並んだ様子

一人暮らしで家計がきついとき、多くの人がまず食費を削ろうとします。でも実際に家計簿を眺めてみると、毎月の支出を重くしているのは食費ではなく固定費であることがほとんどです。この記事では、一人暮らしの固定費がだいたいどのくらいの水準になるのか、手取りに対してどこまでなら無理がないのか、そして削る順番はどこからかを整理します。

さき

中学3年の息子がいずれ家を出る日を考えて、一人暮らしの家計を私なりに真面目に計算してみました。

目次

一人暮らしの固定費の平均

まず前提の確認です。固定費とは、毎月ほぼ同じ額が自動的に出ていく支出のことです。家賃、通信費(スマホ・自宅のネット回線)、電気・ガス・水道の基本料部分、サブスクの月額、保険料あたりが該当します。買い物の仕方で増えたり減ったりする食費や日用品費は変動費です。固定費にどんな項目があるかを一覧で確認したい方は、こちらの記事でまとめています

金額の感覚をつかむために、総務省の家計調査を見てみます。2026年8月時点で最新の2025年平均では、単身の勤労者世帯の消費支出は1か月あたり約19万1,500円でした。これは食費も交際費もすべて含んだ「使ったお金の合計」です。ここから固定費だけを取り出すと、住まいと通信を中心に、おおむね支出全体の半分前後を占めることになります。

ただし、この平均は持ち家の人や年金生活の人も混ざった全国の数字なので、都市部で賃貸に住む若い世代の実感とはかなりズレます。家賃だけで7万円、8万円という人にとっては、平均はほとんど参考になりません。平均と比べるより、自分の手取りに対する割合で見るほうが役に立ちます。

手取りに対する割合の目安

一人暮らしの固定費は、手取り収入の45〜50%以内に収まっていれば、貯金も趣味も無理なく成立します。逆に60%を超えると、食費をどれだけ切り詰めても手元にお金が残りません。私が家計簿をつけてきた実感でも、苦しくなっている家計はほぼ例外なく固定費の比率が高すぎます。

手取り20万円の場合で、無理のない配分を具体的な金額に置き換えてみます。

項目目安額手取り20万円に対する割合
家賃(管理費込み)60,000円30%
水道光熱費11,000円5.5%
通信費(スマホ+ネット)8,000円4%
サブスク2,000円1%
固定費 合計81,000円約40%

この配分なら、食費と日用品に5万円強を使っても、月に3万円前後は残ります。ポイントは、この表の中でどの行が自分だけ突出しているかを見つけることです。全部が少しずつ高い家計より、1項目だけが2倍になっている家計のほうが圧倒的に多く、そしてそちらのほうが直しやすいです。

固定費が手取りの50%を超えていたら、食費ではなく固定費のどこかに原因があります。

スマホの月間データ使用量を確認している画面

いちばん先に削るのは通信費

見直す順番に迷ったら、通信費から手をつけてください。理由は単純で、手続きが一度きりで、生活の質がほとんど下がらないのに、効果が毎月続くからです。家賃のように引っ越しが必要なわけでも、食費のように毎日の我慢が必要なわけでもありません。

大手キャリアのプランをそのまま使っていて月8,000円前後払っている場合、格安SIMや大手のオンライン専用プランに移すと、データ使用量にもよりますが月2,000〜3,000円台まで下がるケースが多くあります。仮に月5,000円下がれば、年間で6万円です。1回30分ほどの手続きで年6万円が浮く見直しは、他の項目にはそうありません。

自宅のネット回線も同じです。一人暮らしで在宅時間が短く、動画をスマホで見るのが中心なら、光回線を契約せずスマホの大容量プラン1本にまとめたほうが安く済む場合があります。逆に在宅ワークやオンラインゲームがあるなら光回線は必要経費です。ここは生活の実態で決めてください。格安SIMの選び方と乗り換えの手順は、こちらで詳しく解説しています

乗り換え前に、直近3か月のデータ使用量をスマホの設定画面で確認しておくと、プラン選びで迷いません。

家賃は動かせるのか

固定費の中で金額がいちばん大きいのは家賃です。ここが下がれば効果は絶大ですが、同時にいちばん動かしにくい項目でもあります。

結論から言うと、すでに住んでいる部屋の家賃を下げるのは難しく、現実的に効くのは引っ越しのタイミングだけです。更新時に賃料交渉をして下がる例もありますが、周辺の相場が明らかに下がっている、長く住んでいて空室リスクを大家さんが避けたい、といった条件がそろったときに限られます。期待して待つより、次の更新までにどう動くかを考えたほうが早いです。

引っ越しを検討する場合は、下がる家賃の総額と、引っ越しにかかる費用を並べて考えます。敷金・礼金・仲介手数料・引っ越し業者代で、家賃4〜5か月分程度が初期費用として出ていくのが一般的です。家賃が月1万円下がるなら、その初期費用を取り戻すのに2年前後かかります。あと1年で転職や転勤の可能性があるなら、動かないほうが得です。

家賃を下げるときの注意

駅から遠い・築年数が古い物件は家賃が下がる代わりに、交通費や光熱費が上がることがあります。断熱の弱い古い部屋は、冬の暖房費が月に数千円変わります。家賃だけで比べず、住居費まわりの合計で判断してください。

住居費全体の考え方と適正額の決め方は、こちらでまとめています

契約中のサブスクを書き出したメモ帳

サブスクは本数で管理する

サブスクは1本あたりが数百円なので、単体で見ると「これくらいならいいか」と思ってしまいます。危ないのはそこです。動画配信、音楽、クラウドストレージ、電子書籍の読み放題、アプリの課金と積み上がって、気づけば月5,000円を超えていることは珍しくありません。年6万円です。

金額で管理しようとすると細かくなりすぎるので、本数で上限を決めるのが続きます。一人暮らしなら常時3本まで、と決めてしまう。4本目を契約したくなったら、今ある3本のうち1本を解約する。この一本入れ替え制にすると、「使っていないのに惰性で払い続ける」状態が自然になくなります。

まずは今、何本契約しているかを数えるところからです。スマホの定期購読の一覧画面と、クレジットカードの明細を1か月分見れば、だいたい把握できます。数えてみると自分の想像より1〜2本多い、というのがよくある結果です。使っていないサブスクの見つけ方と解約の手順は、こちらの記事が役に立ちます

食費より先に見るべき理由

ここまで固定費の話をしてきましたが、そもそもなぜ食費より先なのか。理由は3つあります。

1つ目は、効果が自動で続くことです。通信費を月5,000円下げれば、翌月から何もしなくても5,000円が浮きます。一方、食費を月5,000円下げるには、12か月にわたって毎回の買い物で気を張り続ける必要があります。一度の手続きで済む節約と、毎日続ける節約では、消耗の度合いがまったく違います。

2つ目は、一人暮らしの食費はもともと下げしろが小さいことです。4人家族なら食材をまとめ買いして使い切れますが、一人分だと業務用サイズを買っても余らせます。作り置きも冷凍庫の容量で限界があります。無理に切り詰めると、外食や中食に流れて結局高くつくか、栄養が偏って体調を崩します。一人暮らしの食費は「削る」より「破綻させない」ことのほうが大事です。

3つ目は、食費を削っても金額の絶対値が小さいことです。月3万円の食費を2万5,000円にするのは、かなりの努力で5,000円。家賃を1万円下げるほうが、労力あたりの効果は大きくなります。

固定費の削減は、手続き1回で効果が毎月続く

食費の削減は、努力が毎日必要なうえに削れる幅が小さい

もちろん食費を無視していいわけではありません。固定費を整えたうえで、무理のない範囲で食費を安定させるのが順番です。一人暮らしの食費の目安と、続けやすい買い方はこちらでまとめています

まとめ|一人暮らしは固定費のほうが動かしやすい

一人暮らしの固定費は、手取りの45〜50%以内が目安です。まず通信費、次にサブスク、そして引っ越しのタイミングで家賃。この順番で見ていけば、生活を我慢に寄せずに毎月の支出を軽くできます。今日できるのは、スマホの直近3か月のデータ使用量を見ることと、契約しているサブスクを数えることの2つです。どちらも10分あれば終わります。

さき

一人分の家計は、家族の家計より項目が少ないぶん、直せば効果がはっきり見えます。まずは1項目、動かしてみてください。

固定費に保険料は含めるべきですか?

毎月一定額が引き落とされるものなので、固定費として計上してください。ただし保障内容が自分に合っているかどうかの判断は個別事情に左右されるため、契約中の保険会社の窓口やファイナンシャル・プランナーなど専門家に相談してください。

電気・ガスは固定費と変動費のどちらですか?

基本料金は固定費、使用量に応じた部分は変動費です。家計簿では分けずに水道光熱費としてまとめて問題ありません。季節で数千円変動するため、月ごとに一喜一憂せず、年間の合計で見るほうが実態をつかめます。

手取りが少なくて、どうしても固定費が50%を超えます。

その場合は家賃が原因であることがほとんどです。すぐに引っ越せないなら、通信費とサブスクを限界まで削って耐えつつ、次の更新時期を引っ越しの目標に設定してください。食費をさらに削って体調を崩すのは避けてください。

なお、料金プランや制度の内容は変更されることがあります。契約前の最新条件は各事業者の公式サイトでご確認ください。

目次